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2014 年度 実施状況報告書

マグリブ・アンダルスにおけるウマイヤ家像の変遷

研究課題

研究課題/領域番号 26370815
研究機関北海道大学

研究代表者

佐藤 健太郎  北海道大学, 文学研究科, 准教授 (80434372)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードウマイヤ家 / アンダルス / マグリブ / イブン・ハルドゥーン
研究実績の概要

イブン・ハルドゥーンの史書Kitab al-Ibarを中心に、11世紀以降にマグリブ・アンダルスで執筆されたアラビア語史書を通して、そこに描かれるウマイヤ家像を検討した。また、イブン・ハルドゥーン自伝などに引用されるグラナダ発の14世紀の外交書簡もあらたに検討対象に加えた。これらの史料においては、アンダルスの後ウマイヤ朝は輝かしい繁栄の時代の記憶を喚起するものではあっても、様々なカリフ政権の一つでしかない。この点は、数多くのカリフ政権あるいはそれに準じる政権が交代する11世紀以降のマグリブ・アンダルスの文脈に位置づけて理解すべきであろう。また、執筆時期の関係で当初の計画にはなかったイブン・アル=クーティーヤの史書をあらためて検討したところ、この書に描かれる後ウマイヤ朝建国の叙述が、後ウマイヤ朝建国の功臣であったマワーリー(解放奴隷等の従属民)の出自来歴についての伝承を核として編纂された様子がうかびあがってきた。彼らマワーリーの子孫は、この書が成立した10世紀のアンダルス社会の支配層を構成しており、この史書では各々の功臣の事績に続いて10世紀当時を生きるその子孫たちへの言及が頻出する。したがって、この史書は同時代の社会の成り立ちを、ウマイヤ家による権力獲得に仮託しながら説明したものともいえる。この点は、史書やその情報源となる様々な伝承の特徴に関連して、さらに検討を加えるべき論点だと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

準備不足により予定していたモロッコ調査は実施できなかったが、文献史料の検討はおおむね順調に進展している。新たに検討対象とした、後世の外交書簡にあらわれるカリフ制の記憶と、イブン・アル=クーティーヤの史書の編纂背景については、今後の研究の推進に新たな視角をもたらすものと考えている。

今後の研究の推進方策

当初の計画通りスペインへの海外調査を行うほか、現地の治安状況を勘案しながら可能であればモロッコへの海外調査を実施する。また、当初の計画通り文献史料の検討を進めるとともに、新たに研究対象に追加した外交書簡を、引き続き「イブン・ハルドゥーン自伝」やその他の史料にあらわれる引用を通して検討する。

次年度使用額が生じた理由

モロッコ調査を延期したため。

次年度使用額の使用計画

治安状況を勘案しながら、延期したモロッコ調査を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「イブン・ハルドゥーン自伝7」2015

    • 著者名/発表者名
      高野太輔・佐藤健太郎・湯川武・茂木明石訳註
    • 雑誌名

      『イスラーム地域研究ジャーナル』

      巻: 7 ページ: 40-56

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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