本研究は、イスラーム史上最初の世襲王朝をたてたウマイヤ家がマグリブ・アンダルス地域の歴史叙述の中でどのように描かれてきたのか、その11世紀以降の変遷を明らかにすることを目的とした。史書の中でのウマイヤ家像、伝記集を通してみえるウマイヤ家の末裔の存在、そしてモリスコのウマイヤ家像に連なるキリスト教徒の歴史叙述に見えるウマイヤ家像の3点について検討した。継続して検討すべき課題も残ったが、研究当初には予想していなかった成果もあり、中東地域とは異なる視覚からのカリフ論の可能性にもつながる成果をえることができた。
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