研究課題
本研究は、シリア北東部に位置するテル・タバン遺跡(古代のタベトゥ市)における日本隊の発掘調査によって出土した前二千年紀後半のアッシリア楔形文字文書を主要史料にし、さらに他のアッシリア文書から得られるデータと付き合わせることにより、アッシリアの領土統治の実態の明確化を目指した。古代のタベトゥ市周辺に栄えた臣従国マリ国に研究の重点を置きつつも、前二千年紀後半と前一千年紀前半におけるアッシリア全体に視野を広げ、アッシリア属領統治などの問題に取り組んだ。最終年度に当たる本年度は、特に次の二課題に重点置いて、下記にあげる研究成果の整理と次年度に続く研究の準備に取り組んだ。(1)いくつかの論点に着目しながら、前二千年紀後半・前一千年紀前半アッシリアに関する個別研究に取り組んだ。主な論点は、王の国内巡行、隣国との外交、王家の結婚戦略、行政州と臣従国における行政文書作成の慣行、国家神の神殿に納める供物をめぐる政策、行政州と臣従国における地方祭儀の伝統、アッシリア年代記の発展。これら個別研究の成果を総括し、主な成果は「11.研究発表」に列挙した英語論文にまとめて公表した。(2)次年度以降に、テル・タバン文書最終報告書を出版する。この最終報告書の準備に取り組んだ。重点は、最初の巻になるマリ国王記念碑文の報告に置いた。この課題のため、2016年8・9月に約1ヶ月間ハイデルベルク大学の専門図書館において研究を実施し、さらに同年9月3日~9日にはマンチェスター大学博物館において同博物館に保管される粘土板文書原物の資料調査を行なった。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 1件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 14件) 学会発表 (5件) 図書 (3件)
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