研究課題/領域番号 |
26370822
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堤 一昭 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70283835)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 石濱文庫 / 拓本 / フフ・トグ / 満洲国 / モンゴル語新聞 / 多言語データベース |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究実施計画のうち、以下の研究を遂行した。 1)「石濱文庫」の未整理資料、既整理資料群(①拓本、②重要・稀覯図書、雑誌・新聞)の調査・整理と目録データ入力を継続した。ただし資料群ごとに以下のa~cの基準に照らして優先順位を設けた(a.資料の稀少性、b.現在の研究への貢献度、c.博物館展示への適性)。 ①拓本(約1300枚)を専用保管箱に移し替えた。将来の博物館展示を想定して26枚を選定・実測し、龍門造像記について簡易撮影・整理(継続中)を行った。②重要・稀覯図書は、モンゴル語資料(古典籍、近代図書)を中心に整理・記録作業を行った。また石濵文庫と密接な関係にあるネフスキー文書(天理大学所蔵)の整理・展示・研究状況について調査した。 (2)「石濱文庫」の総合的研究については、昨年度の成果をもとに、ワークショップ「戦前期モンゴル語新聞『フフ・トグ(青旗)』データベースの構築・公開に向けて」を開催し、大阪大学総合図書館でのデジタルデータ公開にむけて技術的問題、著作権の側面からの検討を進め、成果をブックレット(紙媒体及びサイト上で公開)で公刊した。さらに附属図書館担当者と具体的な手順についても協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の研究実施計画のうち、以下の作業について相当部分が未了となった。 (1)稀覯資料:拓本――将来の博物館展示を想定して選定・実測した26枚の補修に向けての専門技術的な検討と補修の依頼。同時に大型資料の画像デジタル化の検討と実施の依頼。(2)大阪大学総合学術博物館での展覧会企画の検討。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、当初予定の作業と平成27年度に未了となった作業とを合わせ、以下の計画を実施する。(1)「石濱文庫」の拓本資料を中心に、優先順位をつけて調査・整理、および補修・撮影作業(専門業者に依頼)を行う。優先順位はa.稀少性、b.現在の研究への貢献度、c.博物館展示への適性から勘案する。補修・撮影の対象とした拓本について、大阪大学総合学術博物館での展示について、場所・日程などの提案・検討を博物館当局と行う。 (2)「石濱文庫」の総合的研究については、平成27年度実施のワークショップ「戦前期モンゴル語新聞『フフ・トグ(青旗)』データベースの構築・公開に向けて」の成果にもとづき、技術的・予算的な範囲内での大阪大学総合図書館でのデジタルデータ公開にむけて、図書館との協議を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、選定した拓本資料の撮影依頼・資料補修依頼、および整理・保管専用用具などの物品の追加購入が執行できなかったためである。 また、データ入力をはじめとする人件費は、整理が一定段階まで進捗した後に発生するため、今年度は部分的な執行にとどまった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、上記の撮影依頼・資料補修依頼の相当額(貴重な学術資料、美術品としての性格を持つため価値相応の技術を有する業者への依頼が必要)を使用する。また整理・保管専用用具の種類・点数確定のための実地調査を行った上で、追加購入する。 データ入力をはじめとする人件費も、平成28年度に使用する。
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