マンサブ(「位階」の意)制度はムガル帝国(1526-1858)の俸給制度であると同時に軍事制度、貴族制度の側面をも併せ持っている。本研究課題では、マンサブ保有者(マンサブダール)の経歴にかかわるデータを多角的かつ網羅的に原史料から収集・分析し、それらの諸事項のデータベースの構築に資する基礎研究を行った。本研究によって、データベースの素材となる基礎的資料が相当程度整備されるとともに、所要の材料を入力した試行的データベースの運用によって、従来の研究では注目されてこなかった帝国の貴族社会と文芸文化の関係、乳兄弟、贈与儀礼の重要性が浮かび上がるに至り、さらなる研究への展開の可能性を得ることができた。
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