研究課題/領域番号 |
26370825
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
古松 崇志 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (90314278)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 金 / 南宋 / 国信使 / 外交使節 / 外交儀礼 / 賓礼 / 契丹 / 多国体制 |
研究実績の概要 |
本研究は、金と南宋・高麗・西夏などの諸国とのあいだで定期的に派遣された使節団が金および各国の朝廷で参加する各種の儀礼を詳細に検討することをつうじて、この時代の金を中心とするユーラシア東方の国際関係の特質を実証的に明らかにしようとするものである。 本年度は、研究課題にかかわる文献記録の分析を進めるとともに、本研究とかかわるいくつかの研究成果を公表した。 まず、中国史の教科書(共著)の執筆に参加し、これまでの研究成果にくわえて本研究における調査・研究をもふまえて、10世紀から13世紀にかけての中国史を現在の研究水準にもとづいて概説した。 つぎに、モンゴル登場以前の多極化時代のユーラシア東方の国際関係を考えるうえでもっとも重要な契丹を中心とする国際秩序にかんする概説論文を発表した。これは、国境や外交文書、外交儀礼などこれまで自身で蓄積してきた研究成果をふまえたものである。 そのほか、契丹の歴史考古学研究のパイオニアである鳥居龍蔵の契丹研究にかんする論文を発表した。各方面での多彩な成果を挙げたことから注目を集めている鳥居龍蔵だが、彼が晩年傾注した契丹研究については初の専論である。調査・研究の推移を詳細に紹介するとともに、近年の契丹考古学の新発見や研究の進展をふまえて、あらためて鳥居龍蔵の研究の意義を再考した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料の収集・整理と分析は順調に進んでいる。ただし、昨年度にあらたに当研究と密接にかかわるテーマについての論著が発表されており、研究成果の発表方法については再検討を要する部分が出てくる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
石刻史料をはじめとする新出史料に留意しながら、金・南宋間の使節団にかかわる文献記録にもとづく研究を継続する。並行して、儀礼が行われた現場である北京や杭州の関連する遺跡や文物の現地調査をおこなう。また、当該分野の研究が最近活発化しており、最新の内外の研究成果の検討にも注意したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定どおり支出したが、若干の余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費購入に充てる予定である。
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