本研究では、文献・戦跡・遺物の総合的分析を通じて、モンゴル-宋戦争(1235~1276年)を考察した。具体的には、モンゴル-宋戦争に求められた人材、この戦争を通じて浮上する軍官の存在と彼らが果たした役割、彼らが宋併合後に与えられた任務や新たに構築した人的ネットワークを検討した。そして、戦争の現場における具体的な交戦・進軍過程、後方における補給や水軍の訓練の状況を解明した。また、このような軍官層が、この戦争によって生じた歴史変動や、宋-モンゴル移行期の南北統合において重要な役割を果たしていたことが明らかとなった。
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