研究課題/領域番号 |
26370827
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
長谷川 修一 立教大学, 文学部, 准教授 (70624609)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 北イスラエル王国 / アッシリア / 旧約聖書 / 列王記 / 考古学 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、北イスラエル王国時代末期を描く列王記下15章―17章の七十人訳とルキアノス系写本いう二つのギリシア語テキストの研究を進め、それらとヘブライ語のマソラ本文との間の差異について検討した。すでに、平成26年度においてこのようなギリシア語テキストとヘブライ語テキストとの間にある差異とその理由、オリジナリティについて研究を進めていたが、その研究成果を7月にブエノスアイレスにて開催されたSociety of Biblical Literature International Meetingで発表し、この分野の権威ある研究者二人から高い評価をいただいた。この成果は8月に英文で論文にまとめこの分野の著名な学術誌に投稿したが、いくつかの点で追加の説明を盛り込むよう求められたので改稿に努めている。 聖書学と考古学が協同するときに抱える問題について英文で論文を執筆し、献呈論文集に送った。また、北イスラエル王国末期の歴史再構成において未解決の部分とこうした歴史再構成が抱える方法論的問題とを和文で執筆し献呈論文集に送った。 アッシリア王碑文についても、引き続き研究を進め、北イスラエル王国時代末期で最も問題となっている箇所の抽出を終えた。 北イスラエル王国の歴史再構成の方法論について、英文・和文でそれぞれ1本ずつ論文を出版した。これらはともにやや一般向けに書かれたものであり、本研究代表者が採用している独自の方法について専門家を超えて広く理解を促すと同時に批判を乞うものである。さらに『旧約聖書』のフィクション性についても学会講演を行い、それを論文として出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、年度当初に計画した研究を達成できているため、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、国際共同研究加速基金に採択されたことを受けて、平成28年度はドイツ連邦共和国ミュンヘン大学で行われる。本大学は、本研究課題の推進に不可欠な多くの図書を蔵書するとともに、共同研究者であるカレン・ラドナー教授は北イスラエル王国を滅亡に導いたアッシリア帝国の研究において世界的権威であることから、本研究課題遂行に必要な協力が期待できる。本研究課題は考古学・聖書学・アッシリア学という三分野を個別に研究したのちにその成果を総合するところに最大の特色があるが、本大学には、旧約聖書学における世界的な研究者と優れた図書館があり、またラドナー教授のスタッフに考古学・アッシリア学の複数の若手研究者が配されていることから、今後の研究のさらなる進展が期待できる。
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備考 |
本年度は英文のホームページも追加し、研究成果を広く国際的に発表することに努めた。
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