本研究は、戦前から戦中、諸状況が一変した戦後直後を含め、昭和前期の日本において、在日イスラーム教徒たちが、日本の政府・官界・軍部そして民間に対して関係を構築すべく講じてきた対日活動の実態を、国内外で記述史料を探索・関係者への聞き取り調査を行い、海外の研究協力者たちと分析した。 戦前期にはタタール系トルコ人の活動、反英独立活動を目指していたインド人やエジプト人が、日本への接近を試み、戦中期にはタタール系トルコ人と回教政策を推進する日本のアジア主義者たちが協働したものの、戦後に回教政策が放棄されると、タタール系トルコ人も海外に移住して、在日イスラーム教徒の活動が衰退した過程の実態を解明した。
|