研究課題/領域番号 |
26370837
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研究機関 | 新潟国際情報大学 |
研究代表者 |
小林 元裕 新潟国際情報大学, 国際学部, 教授 (80339936)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 東京裁判 / 国民政府 / 梅汝ゴウ / 向哲濬 |
研究実績の概要 |
本研究は、第二次世界大戦後の1946~48年に実施された極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判において中国(中華民国)が果たした政治的・歴史的役割を総合的な観点から明らかにすることを目的としている。 平成27年度は、当初の予定通り、中国で出版された『遠東国際軍事法庭証拠文献集成』全50巻を入手し、さらには『遠東国際軍事法庭証拠文献集成索引・附録』全3冊などの基本的な資料を入手できた。 資料調査としては、当初、上海交通大学東京裁判研究センターもしくは南開大学日本研究院での調査を予定していたが、前年度10月に南開大学日本研究院の宋志勇氏が来日して研究動向に関する最新の情報交換ができたために、平成27年度は台北で資料収集を行うこととし、2015年12月25日~31日に台湾の中国国民党党史館で資料調査・収集を行った。同館は2013年にリニューアルし、ここでの資料収集はまだ行っていなかった。残念なことに東京裁判に関する直接的な資料はわずか3件しかなく、東京裁判期に中国検事団の活動を東京で支えた中国駐日代表部の資料なども見当たらなかったので、今回は、東京裁判という戦争犯罪を裁く法廷を中国はどのように準備したのか、東京裁判の審議過程において中国本国、もしくは国民党がどう指示を出し、その際にどのような議論をしたか等を解明するための資料が存在しないかを調べた。具体的には「聯合国戦罪委員会遠東及太平洋分会籌備組織事宜」、「戦争罪犯処理辨法」等の国防档案や「外交専門委員会」の会議記録などを閲覧した。 研究成果としては、2013年に上海交通大学東京裁判研究センターで開催されたシンポジウムにおける報告が出版され、また、東京裁判の判事を務めた梅汝ゴウ、検事を務めた向哲濬、そして東京裁判において中国側が日本を裁いた日本のアヘン政策についての文章が公刊された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
勤務校を移動することになり、そのための手続きや準備のために平成27年度の後半は本研究に割く時間があまりとれなくなり、「研究実績の概要」に記した内容の成果にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は夏期に中国天津市の南開大学で戦犯裁判に関するワークショップの開催が予定されており、そこでの報告を求められているため、まずは中国検事が東京裁判で果たした役割について研究成果をまとめる予定である。そして中国人研究者、日本人研究者と情報交換を進めたい。平成27年度は戦後70周年に当たり、東京裁判に関する資料も大量に出版され、そのうち主要なものを入手したので、それらの整理を進めていきたい。さらに中国第二歴史档案館の資料公開状況を確認しながら、同館が東京裁判関係の資料を公開したら同館で、それが不可能なら平成27年度に続き台湾中国国民党党史館で資料収集を行いたい。
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