研究課題/領域番号 |
26370837
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小林 元裕 東海大学, 文学部, 教授 (80339936)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 東京裁判 / 中華民国 / 国民政府 |
研究実績の概要 |
本研究は第二次世界大戦戦勝国の一つとなった中華民国が日本の戦争犯罪を裁いた東京裁判においてどのような役割を果たしたかを総合的に分析するものである。 平成28年度においては、2016年6月25日にこれまでの研究成果の一部を「東京裁判における中国検事の役割」と題して東海大学史学会大会で報告した。また、同年8月26日~9月2日に北京、天津、ハルビン、瀋陽で研究発表及び史跡調査を行った。まず8月27日に、北京外国語大学で開催された日中共同ワークショップ「日本の侵略・支配責任と戦争裁判」で「東京裁判で中国は日本の何を裁こうとしたのか」と題する報告を行った。翌28日には天津市南開大学日本研究院で開催された「紀念東京審判開庭70周年学術報告会」で現在私が進めている研究の概要報告を行った。この27、28日の両会合には中国における東京裁判研究の第一人者である宋志勇教授ほかの中国人研究者と、日本から参加した他大学の日本人研究者が出席し、彼らと有用な意見交換ができた。そして29日以降は、北京の中国人民抗日戦争紀念館、ハルビンの侵華日軍七三一部隊罪証陳列館、瀋陽の九・一八歴史博物館、中国(瀋陽)審判日本戦犯旧址陳列館、撫順戦犯管理所、平頂山惨案紀年館など、各都市にある戦争博物館と戦争裁判に関する史跡を視察調査した。これらの戦争博物館や史跡に見られる中国の現時点での歴史認識を確認し、さらには東京裁判の判決内容がそれらの博物館や史跡の展示に史実として影響を及ぼしていることが理解された。 2016年4月に勤務先が変わったため、新しい職場環境に慣れるのに時間がとられ、研究成果の発表は思うように進められなかった。本研究の直接的な成果としては、上記した東海大学史学会大会における報告要旨が『東海史学』に掲載されたのにとどまった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年4月に勤務先が現在の東海大学に移り、新たな環境において研究を進めるのはなかなか思うようにいかなかった。新しく担当した授業の準備や、学内業務に時間がとられ、本研究には限られた時間しか割くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は本研究の最終年度であり、本研究をまとめていかなくてはならない。2017年は日中戦争勃発80周年の年であり、中国ではいくつかの国際シンポジウムが予定されている。私にもすでにいくつかのシンポジウムで報告するよう招請が来ており、これらの報告を通じて、本研究をまとめる方向に持って行きたい。具体的には7月に予定されている「紀念全面抗戦勃発80周年」国際シンポジウムで、日中戦争期の阿片・麻薬問題を取り上げ、東京裁判でこの問題解明のために中国側検察官が果たした役割を分析する予定である。また出版が予告されている中国の戦時期外交文書資料集を購入して、戦後の戦犯裁判が国際社会でどのように準備され、それに中国がどう関って東京裁判開廷につながっていったのかを明らかにしたい。
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