研究課題/領域番号 |
26370841
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
小川原 宏幸 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (10609465)
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研究分担者 |
趙 景達 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (70188499)
愼 蒼宇 法政大学, 社会学部, 准教授 (80468222)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 朝鮮史 / 民衆史 / 日朝関係史 |
研究実績の概要 |
研究代表者および研究分担者はこれまで、朝鮮の近代移行期を中心に朝鮮近現代史研究を続けてきた。本研究は、大韓帝国(1897-1910)の成立・展開過程を朝鮮社会との相関関係から動態的に位置づけ、等身大の大韓帝国像を復元した上でその歴史的評価を行うことを主たる課題としている。したがって大韓帝国の①統治構造の展開過程、②在地社会のあり方、③その接点の三つの分野について相互の関連性を射程に入れながら分析を進めてきた。 本年度は、それぞれの課題について個々の研究メンバーが、従来積み重ねてきた具体的な事象についてそれぞれ論文や研究報告といった形で発表した。 本研究に直接関連する成果の一部として、今年度は、研究代表者の小川原が1回の国際学会での報告および2編の解説・解題、研究分担者の趙景達が4編の研究論文、同じく分担者の慎蒼宇が4編の研究論文を発表した。小川原は、韓国独立運動家である安重根が提示した東洋平和論を朝鮮思想史上に内在的に位置づけるとともに、近代移行期の日朝関係を国際法的観点から整理した。趙景達は、民族宗教である東学の展開過程を民衆運動的立場からとらえ返すとともに、一方で朝鮮民衆運動史研究のあり方を整理して今後の展望を図り、他方で現在、朝鮮近代史研究においてメインストリームとなっている植民地近代性論のあり方をあらためて批判した。慎蒼宇は、帝国主義下において近代移行期を経た朝鮮の経験を、植民地戦争をはじめとした戦争の継続という観点から再構築し、朝鮮社会の変容過程について考察した。 また個々の関心に即しながら史料調査および収集を行い、研究のさらなる深化に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者および分担者ともに複数の研究プロジェクトに参加しており、本研究課題に専心するのはやや難しい状況にあるが、研究成果としてはおおむね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
課題最終年度となる2016年度は、これまで研究代表者および分担者がそれぞれ行ってきた研究成果を持ち寄り、これまでの成果と課題を検証し、さらに研究を深めていく。短期的にまとめられる全体像を提示するとともに、今後、中長期的に継続して検討していくべき課題の洗い出しを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた国際シンポジウムが延期となったため、その参加費用として次年度に研究費の一部を繰り越した
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次年度使用額の使用計画 |
ドイツで行われる国際シンポジウムに参加する予定。
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