本研究は,第二次世界大戦期にホロコーストと同時並行して行われたナチ・ドイツの東部占領地政策・人口政策を,その複合的・多面的性格に照らして比較類型学的に考察し,戦後の各地域における住民の移住・追放との相互連関を理解する手がかりを,とくにその期の大規模な住民移動に着目して再考しようとするものである。冷戦後の研究の隆盛にもかかわらず,ナチのホロコーストに関わる東部占領地政策とその多様性について総体として比較検討し,戦後追放問題まで展望した研究は存外に乏しく,それらを比較類型学的・相互連関的に検討したことが,本研究の最大の成果である。
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