研究課題/領域番号 |
26370853
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70262095)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 優生学運動 / 産児調節 / 冷戦 / ホロコースト / 家族計画 |
研究実績の概要 |
第二次世界大戦後のアメリカ優生学運動とその海外への伝播・発展過程を検証する本科研課題では、重点研究領域として、①ドイツの戦後処理とアメリカの関係、②アメリカ「帝国」領域における優生学的実践1(プエルトリコ、グアム、フィリピン)、③アメリカ「帝国」領域における優生学的実践2(日本(沖縄含む)、韓国、東南アジア、アフリカ)、④戦後アメリカ国内における断種実践、黒人貧困層を対象とした南部社会における福祉施策、など4つを設定した。 計画2年目にあたる平成27年度は、上記②アメリカ「帝国」領域における優生学的実践1を研究対象として、1)プエルトリコについては、Laura Briggs, Reproducing Empire: Race, Sex, Science, and U.S. Imperialism in Puerto Rico (2002)で用いられた一次史料を中心に集め、プエルトリコでの断種実践を論じた研究論文等も集めた。2)グアムについては、管見の限り、断種実践についての研究はなく、今後もグアム以外の太平洋島嶼部を含め事例収集につとめることにした。3)フィリピンについてはアメリカの影響を受けた医療分野の歴史全般の資料収集に務め、医学の学知の相互連関をみるトランス・ナショナル・ヒストリーの研究分野から、関連研究を収集、分析し、研究を進めることができた。 こうした資料収集を中心に研究が計画通り進展した一方で、平成27年度に計画していた海外調査は、本務校の学務の関係で日程調整が難しく、平成28年以降に延期することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に重点的に検証するアメリカ合衆国の「帝国」領域であるプエルトリコ、グアム、フィリピンにおける優生学的実践を扱った研究書、資料等の収集はほぼ計画通り、達成することができた。しかし、夏休み期間中に、上記地域における現地調査を実施する予定であったが、公務の関係で平成28年度以降に当地での海外調査は延期した。
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今後の研究の推進方策 |
本科研課題で重点研究領域として設定した、①ドイツの戦後処理とアメリカの関係、②アメリカ「帝国」領域における優生学的実践1(プエルトリコ、グアム、フィリピン)、③アメリカ「帝国」領域における優生学的実践2(日本(沖縄含む)、韓国、東南アジア、アフリカ)、④戦後アメリカ国内における断種実践、黒人貧困層を対象とした南部社会における福祉施策、の四つの領域のうち、①と②については平成26年度~27年度にほぼ達成されたので、平成28年度は③の戦後日本、韓国、東南アジア、アフリカなどに対象地域を移して、優生学的実践事例を検証することを目標として、研究を推進する方針である。平成27年度に計画されていた海外調査は、平成28年度以降の調査に組みこみ、研究計画を変更して対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の夏休み期間中に予定していた海外調査が、本務校での公務のため計画変更を余儀なくされたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の計画のなかに海外調査を組みこみ、使用計画をたてる。
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