戦後のアメリカ優生学運動とその海外への伝播・発展過程については、これまでほとんどまとまった先行研究もなかったが、5年間の研究期間に、新史料の発掘を含めて、全体像を描く手がかりとなる史資料を収集することができたことが学術上の大きな成果である。すべての史資料の解析にはまだ時間がかかるが、アメリカ優生学運動の通史を書くことを目標に、今後もこの課題に取り組みたい。また、近年、日本でも旧優生保護法下での強制不妊手術の実態が明らかにされつつあり、その前例としてのアメリカ社会における優生学的断種に注目が集まりつつあることにも付言しておきたい。
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