ソ連の異論派の活動を支えた西側の特派員や知識人の道徳的立場を解明することを主たる目的とした本研究は、特に、パーヴェル・リトヴィノフの支援者であったオランダ人特派員カレル・レーヴェと英国の著名な詩人スティーヴン・スペンダーに焦点を絞り調査を進めた。彼らの書いたエッセイ、日記、回想録などを分析した結果、レーヴェ、スペンダーはともに過去に共産党に加わるもソ連の現実に幻滅してそこを離れた経験を有し、そのことが、そのイデオロギーの下で言論や表現の自由を奪われているソ連知識人のリスクある行動に支援を行う際の彼らの道徳的基盤を強化していたことを明らかにできた。
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