研究課題/領域番号 |
26370862
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中川 順子 熊本大学, 文学部, 准教授 (00324731)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 近世ロンドン / 移民 / 帰化 / 外国人受容 |
研究実績の概要 |
研究計画にしたがい、本年度は以下の3点の研究を実施し、それぞれの結果を成果とした。第一に、今年度も主に文献・史料の調査収集、それと同時に既存の史料の分析や読解を進めた。今年度は校務多忙と体調の都合によりロンドンでの調査ができなかったため、主に国内にて文献・史料収集を実施した。集めた史料は、近世イングランドとくに17世紀後半における帰化に関するパンフレット群、近世イングランドにおけるユダヤ人、ドイツ系移民、18世紀前半の一般帰化法に関する文献や史料である。それと同時に、それらの史料を読解、分析を進めた。 第二に、18世紀前半の帰化取得者に関する史料の読解、分析にも着手した。これは現在も進行中である。 第三に、これまで行ってきた近世ロンドンにおける外国人受容に関する研究も進め、その成果の一部を論文としてまとめた。この成果により、従来いわれていた外国人への階層ごとの画一的な対応との理解には見直しが必要であること、16世紀後半のロンドンにおいては、外国人への態度はアンビヴァレントで複雑なものであること、ローカルなレベルでは出生地主義より血統主義に基づいて外国人の法的地位と権利が認識され、イングランド人、とりわけロンドン市民と外国人との差別化が行われたことが明らかになった。この研究の過程で、ロンドンで活動した外国人醸造業者についても研究を進めたので、それを成果としてまとめ刊行することも今後の課題の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、校務が極めて多忙であったことと、申請者とその家族が相次いで緊急手術・入院する事態となったことにより、研究に従事できない期間が生じ、また予定していたロンドンでの調査を見送らざるを得なくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の遅れを取り戻すため、平成28年度は夏と2月にロンドンで史料の調査・収集を行う予定である。18世紀前半の帰化取得者に関する史料分析を進め、一般帰化をめぐる議論の検討と併せて研究成果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
校務が多忙を極めたことと、申請者本人と家族が相次いで緊急入院・手術をすることになり、予定していたロンドンでの史料収集を断念せざるを得なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金は平成28年度においてロンドンでの調査費とする予定である。
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