第二次世界大戦期のハンガリーにおいてドイツ系住民の追放、セーケイ人難民の移住、チェコスロヴァキアとハンガリー間の住民交換の3つの強制移住が連鎖した原因には新政権によって実施された土地改革が存在し、ハンガリー人とみなされたセーケイ人とチェコスロヴァキアから追放された住民に土地を分配するため、ドイツ系住民の追放が促進・強化された。つまり戦後の国民国家の形成には土地を国民化するというある種民族浄化の発想が働いていた。また、強制移住と住民交換はハンガリーをはじめとする東欧諸国や国際社会が意図したようなマイノリティ問題を解決する手段とはならず、さらなる住民の移動と新たなエスニック集団の形成をもたらした。
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