ドイツ語圏地域で史料調査を行い、欧米に特徴的な財団制度の由来を考察した。財団制度の発展に関する宗派比較を行うために、ルター派のブラウンシュヴァイク公国と改革派のバーゼル市を調査した。プロテスタント圏では既に近世には財団の存在は自明であった。遺贈者が基金を設け、年々発生する利息が遺贈者の意向に沿って公益目的に資された。近世の財団の目的は福祉と就学助成が大半であった。福祉は貧者、老人、寡婦、孤児に対する救貧介護が中心である。就学支援は大学生、ギムナジウム生だけでなく、ときに職業訓練生にも及んだ。 遺贈者の追悼説教の考察は、徳行から得られる名誉に対する関心が支援の動機なっていることを明らかにした。
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