研究課題/領域番号 |
26370866
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
中野 博文 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (10253030)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 門戸開放通牒 / 女性参政権 / A・E・ヒッピスレー / W・ロックヒル / ヘンリ・アダムズ |
研究実績の概要 |
今年度は研究に着手した第一年目であり、資料調査に重点を置いた。 門戸開放通牒の草稿を作成したイギリス人A・E・ヒッピスレーの文書を収集するため、イギリスに長期滞在し、同文書を所蔵するオックスフォード大学を調査した。そのなかで、19世紀末の北京に存在した英米間の人的つながり、とくにヒッピスレーの妻をはじめとする米国出身の女性たちの存在が、ヘイ米国国務長官の顧問であったW・ロックヒルを通じて、米国の中国政策に影響を与えていたことが判明した。 このつながりを追った結果、北京に欧米の公使館が開設された際に活躍した英国外交官H・ルンボルドの資料、そして彼の子で米国人を母に持ち、1911年の日英同盟改定で中国での英米日の協調のために働いた英国駐日大使館員H・M・G・ルンボルドの日記、書簡に出会い、その収集をおこなった。 オックスフォード大学では、これらの資料に加え、当初予定した歴史家ヘンリ・アダムズのサロンに参加していた芸術家達の反帝国主義運動の文書も入手した。 こうした文書の収集と分析の中で、門戸開放通牒が発せられた当時の英国政府の動きと、米国でのヘイ国務長官の行動、アダムズのサロンの実態について、その詳細を明らかにすることができた。 また、サロンに参加していた女性たちの行動を追うなかで、アダムズと交友のあった女性たちが女性参政権に反対していたことを発見した。この理由について、これまで発表された研究書、研究論文、さらに女性参政権反対の団体の資料を収集し、一定の結論を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
イギリスに長期滞在することができたため、当初の計画では平成27年度に実施する予定であった英国外交官D・リンゼイの文書を一定程度まで収集することができた。また、リンゼイの二人の妻が残した文書もその所在が明らかになり、その一部分を収集した。このように、今年度、英国で翌年度に行う予定の内容を前倒しするかたちで実施した結果、平成27年度の調査旅行の柱の一つであった英国での調査を大幅に縮小できるようになったほか、残りの柱であった米国と日本の資料収集も一部分を縮小することが可能となった。 また、これら収集した資料に基づく研究成果として、『ヘンリ・アダムズとその時代』(仮題)という著書を公刊する準備を進め、その原稿を完成させた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に沿って研究を進めていくのと同時に、大量の文書を収集したため、その分析に思った以上の時間がかかるようになった。その分析の大枠を明確にするため、今年度に著作を刊行し、分析枠組みがこれまでの研究に照らして意義があるかどうか、学界の判断を仰ぐこととする。
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