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2017 年度 実施状況報告書

16世紀後半の聖地巡礼記に見るイスラーム観・ムスリム観・十字軍観の変遷

研究課題

研究課題/領域番号 26370867
研究機関東北学院大学

研究代表者

櫻井 康人  東北学院大学, 文学部, 教授 (60382652)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワード十字軍 / オスマン帝国 / 聖地巡礼 / イスラーム
研究実績の概要

当該年度は、当初の予定では1591~1600年の間に作成された全23作品の旅行記の分析を行う予定であった。しかし、諸般の事情により国外での史料調査・収集を実施することができず、1作品については未入手の状態である。その結果、本来であるならば当該年度が本研究の最終年度であったが、1年間の延長手続きを行うこととなった。従って、以下に記すのは、当該年度に分析することのできた全22作品の旅行記から得られた暫定的な結論となる。
まず、全22作品の内、6作品は地理書・歴史書の類であり、2作品は創作の類であり、4作品は神学書などの類であることが解った。従って、残りの10作品が聖地巡礼記と判断され、本研究での検討対象となった。1571~1590年の時期には、フランス・スペイン・イタリア地域、すなわちカトリック圏内に限定されるものの、一部の聖地巡礼者は、その旅の記録の中に、経験と結びつける形での十字軍待望論を盛り込んでいた。しかし、1591~1600年の時期では、もはや十字軍待望論を確認することができなかった。その一方で、幾人かの巡礼記作者は、ギヨーム・ド・ティールの年代記を参照することに端的に表れているように、「十字軍」を完全に過去のものとして捉えている。これらのことを総合すると、1591年以降において、「十字軍」の「過去化」の傾向が決定的となり、もはやそれは同時代のものでも、将来的に期待されるものでもなかったと言えるのである。このようにして、J・ライリー=スミスの表現を借りると、「十字軍」はフェードアウェイしたいった、と考えられるのである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

基本的には、当初の予定通りに研究を進めることができた。しかし、上記のとおり、当該年度においては、諸般の事情により国外での史料調査・収集を行うことができず、その結果として一つの史料を分析することができなかった。従って、当該年度における研究の進捗状況は、「やや遅れている」とせざるをえない。

今後の研究の推進方策

残りの一作品を分析した上で、上記の暫定的な結論について再考する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度において、当初予定していた国外における史料収集が、家族の手術・入院により、遂行するのが困難になったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 紹介:高橋慎一朗・千葉敏之編『移動者の中世―史料の機能、日本とヨーロッパ―』2017

    • 著者名/発表者名
      櫻井康人
    • 雑誌名

      史学雑誌

      巻: 126-12 ページ: 83-84

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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