本研究の概要は以下である。当該時期の自由主義運動は、労働者や農民も対等の政治アクターとして包摂しようとする市民的ネイション形成をめざしていた。他方、第一次革命前夜にペテルブルクの労働者が掲げた要求は、多くの点で自由主義者のそれと重なり合っていた。そのため自由主義者と労働者の間には革命の過程である種の同盟関係が成立することになった。しかし、自由主義者内部でネイションの形成をめぐって民族をどのように扱うかで分裂がおこるとともに、1905年10月以降労働運動と自由主義運動の方向は乖離していき、反専制闘争という条件下で成立した両者の同盟関係は弱体化したことを、国家ドゥーマ選挙過程まで含めて考察した。
|