アキテーヌ公領を当時の社会的諸関係や諸制度の投影=領域として捉える視点から、本研究は以下の3点を論じた。最初に、フランス学界における領域史の研究動向の整理を行った。次に、エドワード1世の大陸所領巡幸路を確定し、王が都市やバスティードに頻繁に立ち寄りつつ、支配領域をくまなく巡ったことを示した。最後に、領域横断的な貴族の活動を具体的に解明した。以上の研究を遂行する中から、アキテーヌ地方の領域的性格の歴史的形成と変遷の検討という視点を得た。この問題を明らかにするためには、中世から近世に及ぶ長期間を扱う必要があろう。
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