本研究は政治目標を達成する手段として暴力を用いる秘密結社をテロ組織と位置づけ、こうした組織の国境を越えた活動によって既存の国際政治の秩序が崩れ、大規模な変動が生じるという仮説から、第一次世界大戦前夜の黒手組、IMRO、CUPエンヴェル派、ARFという4つのテロ組織の活動を分析した。四つの組織は何れも民族主義団体であり、相反する政治目標を持っていたが、テロの実行に際してしばしば協力していたことが判明し、そのノウハウを共有することで行動様式が類似するようになったことが確認された。四つの組織の活動の結果、地域の政治秩序が崩壊し、第一次世界大戦の引き金となった。
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