研究実績の概要 |
1.前年度に引き続き、ヴェルジェンヌ外務卿時代の外交政策に焦点をあて、ヴェルジェンヌに関する伝記、評伝の分析や、ヴェルジェンヌ個人の書簡や手稿史料を中心に分析を進めた。とくに2009年にあらたに移転・再出発したパリ北部・コルヌーヴのフランス外務省外交文書館で現地調査を行い、手稿史料を中心にした近世フランス外交に関する大量の外交文書 Archives Diplomatiquesに関する調査を敢行した。主に調査の対象とした史料は、 Memoires et Documents, Correspondances politiques(-1896), Affaires diverses politiques であり、それぞれの史料に関する時代背景や叙述内容の細かな検討を進めた。 2.1780年代フランスの対アメリカ外交について、とくにアメリカ独立戦争への介入・参加にいたる経緯を外交文書や研究文献に依拠しながら、分析を進めた。とくに分析対象とした研究文献は、Munro Price, Preservinng the Monarchy, The Comte de Vergennes,1774-1787, 1995.である。 3.2016年10月には、オクスフォード大学のオリヴァー・ジマ―教授を所属機関の訪問研究者制度を利用して招聘し、研究会や国際シンポジウムを3回開催し、ヨーロッパにおけるナショナリズム形成の問題とヨーロッパ外交の問題を検討・集中討議した。主たる研究対象は19世紀のヨーロッパであったが、近世フランス外交政策との関わりからこの問題の分析を行った。
4.2017年3月にポルトガル・リスボンに研究出張に出かけ、近世フランスとポルトガルの外交・文化・社会関係に関する施設や文書館・博物館・王宮等で史料調査を行った。
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