研究課題/領域番号 |
26370879
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松園 伸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60239019)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スコットランド / ブリテン議会 / 1707年イングランド・スコットランド合同 / ロバート・ウォルポール / 国際情報交換(英国とくにスコットランド) |
研究実績の概要 |
1707年イングランド・スコットランド合同研究は2007年の300周年記念を迎え、大きな前進を見た。そして昨年2014年9月に実施されたスコットランド独立をめぐる住民投票をめぐる様々な議論は、現実政治の枠を超えて、アカデミックな歴史研究にも大きな影響を与えている。2007年以降発行された合同研究は単行本だけでも優に20点を上回るのである。 本年度はまずこれらの研究文献を読解するとともに、これまでのスコットランド現地での文書調査を踏まえて、合同実現以降のイングランド・スコットランド関係とりわけ首相ロバート・ウォルポールとホイッグ政権によるスコットランド政治社会のmanagement を詳しく分析することができた。その成果は早稲田大学大学院文学研究科紀要での論文、Gordon Pentland and Mike Davis eds., The Long and Wide Eighteenth Century: Culture, Politics and Society, 1688-1815. Essays in Honour of H. T. Dickinson (Edinburgh, 2015年刊行予定) 収載の私の論文の中でも考察されている。さらに合同以前のスコットランド議会についての論文も2015年に上梓される。加えて合同研究についての私の研究の一つの総括として2015年5月、日本西洋史学会において個人研究報告を行う。 付加するならば、本年度は私のスコットランド研究の「副産物」として明治以来のスコットランドとわが国の学術交流についても英文論文2本をまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は義母の急逝のため、予定されていたNational Records of Scotland, National Library of Scotland等 スコットランド現地での文書史料調査を実施することができなかった。しかしHarry Dikinsonエジンバラ大学名誉教授、Jeremy Black エクセター大学教授のアドバイスを十分に受けることができた。とくにBlack教授は昨年の来日時に親しく意見交換をすることができた。 リサーチとしては、国内大学など各地での所蔵稀覯書、勤務先早稲田大学でのEighteenth Century Colletions Online, The Makng of the Modern World, 18世紀英国新聞集成、18世紀英国雑誌集成などを十分に活用することで、邦語論文2本、英語論文3本をまとめることができた。 2015年度は前年度にできなかったイギリスでの文書調査を積極的に行いさらなる論文の執筆に努める。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、スコットランドにおいてNational Records of Scotland, National Library of Scotland, エジンバラ大学などで1707年イングランド・スコットランド合同実現後の政党政治についての未刊行文書類の調査を行う。またこれまでのアーキビストとの交流を生かしてハミルトン公爵、ホープトン伯爵家などの個人所蔵史料についても調査を実施し、英国一流の査読誌に掲載され得る論文の執筆を行う。 史料調査に並行してDaniel Szechiマンチェスタ大学教授、Perry Gauci オックスフォード大学リンカン・カレッジ フェローなどとも研究上の意見交換を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度の科学研究費の主要な使途としては、英国とくにスコットランドにおける史料調査を予定していたが、母親の疾病、死去に伴い前年度支出予定額を今年度2015年に用いることとした。そして2014年度の研究はもっぱら日本国内でのリサーチ及び論文、著作等に充てられた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、前年度に実施できなかったスコットランドでの文書調査を予定している。論文執筆と並行して海外調査を実施するため、夏季休業時の一回のみか、または夏季休暇、春休みの二期に分けて行う。 スコットランドでの調査と合わせて、18世紀ブリテンにかんする書籍を数点購入する。
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