研究課題/領域番号 |
26370880
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
武井 彩佳 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (40409579)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 民族ドイツ人 / 財産移転 / 強制移住 / ユダヤ人 |
研究実績の概要 |
本年度は、ナチ時代に「民族ドイツ人」と呼ばれた東欧のドイツ系住民が、連邦共和国で被追放民、もしくは「アウスジードラー」として受け入れられる法的基盤について明らかにした。彼らへの政府による戦後の支援は、ナチ時代に移転された財産の補償の延長線上にあるものであり、受け入れの法的地位を明らかにすることで、逆に戦中の財産移転による補償状況が明らかになるのである。さらに、基本法116条にある「民族所属性」を根拠とするアウスジードラーの受け入れが、実は連邦共和国における東欧出身のユダヤ人の受け入れと連動している点が明らかとなった。 研究成果は『ドイツ研究』と大内宏一編の論文集『ヨーロッパ史の中の思想』所収の論文「『ドイツ人』と『ユダヤ人』の境界―基本法116条1項『ドイツ民族所属性』をめぐって」において発表した。また、早稲田大学の公開シンポジウムやドイツ学会シンポ、さらに日本記者クラブでの2回にわたる講演において、その成果の一部を発表した。 同時に、昨年度に収集し、データとして持ち帰った史料の精読を進め、最終的な論文執筆の準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は予定していたドイツでの史料収集が様々な理由で行えなかった。したがって資料集めという点では多少の遅れは出ているが、資料の解読は進んでおり、遅れは大きなものとはなっていない。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は現地文書館で最終的な資料収集を行い、資料の精読して、論文にまとめるつもりである。また、複数の歴史学会で報告を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、予定していた現地での史料集めに出られなかったため、その分の旅費の未消化が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は海外での史料集めを複数回行う予定である。これにより未使用の額は消化される。
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