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2015 年度 実施状況報告書

第二次大戦後のイギリス帝国における開発概念の再検討―アフリカ農村開発計画を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 26370885
研究機関下関市立大学

研究代表者

水野 祥子  下関市立大学, 経済学部, 教授 (40372601)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードイギリス帝国 / 農村開発 / エコロジー / 熱帯環境 / サハラ以南アフリカ / 植民地科学者 / FAO / 技術援助
研究実績の概要

1950年にイギリス、フランス、ベルギー、ポルトガル、南アフリカ、ローデシアの6か国間でアフリカ開発技術援助を目的として設立されたサハラ以南アフリカ科学協議会Scientific Council for Africa South of the Sahara(CSA)とサハラ以南アフリカ技術協力委員会Commission for Technical Cooperation in Africa South of the Sahara (CCTA)に注目し、植民地科学者の開発のパースペクティブを検証した。その結果、開発計画におけるエコロジカルなファクターの重視という点が明らかになった。かれらは熱帯環境の特異性を強調し、農村開発計画は現地の生態環境と社会的状況に基づいて立案すべきだと主張した。こうした問題関心に基づいて行われた現地調査を通じて、現地住民の土地分類システムなどのエコロジカルな知を土地利用計画へ活用する方法がうみだされ、広がった。また、植民地科学者は、サハラ以南アフリカの生態環境の下では化学肥料の利用と機械化が生産増と地力の維持に直結するわけではないと考えるようになった。従来、植民地科学者の開発とは、近代科学を普遍的かつ絶対的に優れていると考え、植民地の社会と生態系を無視する形をとったと批判されてきたが、本研究ではそれとは異なる局面を明らかにすることができた。
また、アフリカ開発をめぐってCSA、CCTAと国連食糧農業機関 (FAO)などの国連専門機関がいかなる関係を構築したかに焦点をあて、両者の開発アプローチの比較と相互影響について検討を始めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度はCSAとCCTAの分析に時間を要したこと、また、FAO文書館所蔵の未刊行史料が予想以上に多かったことから、東アフリカの農村開発計画に関連する一次史料の分析があまりすすまなかった。来年度は東アフリカのリージョナルな研究機関と国際機関の双方のバランスに注意しつつ、分析をすすめていく予定である。

今後の研究の推進方策

植民地科学者と行政当局との開発概念の相違点を明確にし、第二次大戦後のイギリスの植民地開発をめぐる議論の重層性と全体像を明らかにするよう試みる。同時に、植民地アフリカの開発計画を通して得られた経験や知が、国際的な開発援助ネットワークのなかでいかに評価されたのか、国際機関による開発援助計画にイギリスの植民地科学者の開発思想や実践が及ぼした影響とは何かを検証する。

次年度使用額が生じた理由

東京大学、京都大学、一橋大学、および国立民族学博物館の付属図書館で計4週間程度の史料調査を予定していたが、行くことができなかったため。

次年度使用額の使用計画

次年度、上記の図書館で史料調査を行うための国内旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] イギリス帝国の科学者ネットワークと資源の開発・保全2015

    • 著者名/発表者名
      水野祥子
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 増刊号 ページ: 11-20

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] International Cooperation in Technical Assistance for Development in Late Colonial and Early Postcolonial Africa2015

    • 著者名/発表者名
      水野祥子
    • 学会等名
      17th World Economic History Congress
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2015-08-06
    • 国際学会
  • [学会発表] イギリス帝国の科学者ネットワークと資源の開発・保全2015

    • 著者名/発表者名
      水野祥子
    • 学会等名
      歴史学研究会大会全体会
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2015-05-23

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公開日: 2017-01-06  

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