本研究の目的は、第二次世界大戦後の英領アフリカにおける開発計画を立案し、実践した植民地科学者に焦点を当てることにより、国際社会の課題となった植民地・開発途上国に対する「開発」概念の形成プロセスを再検討することである。まず、かれらが開発と資源保全、生態環境との相互影響をいかに論じていたかを明らかにし、行政官や経済学者とは異なる開発思想をもっていたのではないかという仮説を立証する。さらに、国際開発体制が成立する中で、イギリスの植民地科学者の経験や知が開発援助のあり方にいかなる影響を与えたかを考察する。
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