研究課題/領域番号 |
26370889
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
荒木 志伸 山形大学, 基盤教育院, 准教授 (10326754)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 山岳信仰 / 石造文化財 / 立石寺 / 出羽三山 / 戒名 / 民間信仰 / 基層信仰 / 東北 |
研究実績の概要 |
これまで山寺立石寺の石造文化財の調査で得られた情報をもとに、学会等で成果を公表した。2015年9月に日本山岳修験学会で「霊場の成立と展開-石造文化財からみた山寺立石寺-」と題して発表し、石造文化財の形式上の特徴や、参詣者の地域的傾向とその階層に関する推測について見解を示した。また、2016年2月にはイタリア・ボローニャ大学からの招聘により、石造文化財から明らかになってきた日本人の基層信仰のスタイルについて、山寺や出羽三山を中心に授業や公開講座で講演した。 山寺立石寺の調査に関しても、おおむね順調に進んでいる。10月には現地調査を実施し、参道修復の石造文化財のデータを収集した。継続的な調査の結果、新しく導入した機材により調査方法が改善されたり、以前調査したものとの関係性で文字情報が改めて解読できる事例などが出てきている。こうした再調査の必要があるものについては、必要に応じて調査の機会を増やすなどして、より精緻なデータを収集に努めたい。 比較対象地となる場所の調査としては、羽黒山参道の2地点での石造文化財調査が、ほぼ終了した。近世期に全国からの参詣者が絶えない出羽三山の特徴が、石造文化財にもよくあらわれている。本研究によって判明したように、山寺立石寺は近世前期までは地域密着型の様相が強い。それとは大きく異なる傾向であり、注目される。今後、調査を進めている慈恩寺や、松島瑞巌寺・雄島の石造文化財のデータと比較することによって、より個々の霊場の性格が鮮明することが可能になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階で調査・研究成果の公表ともに、おおむね順調に進んでいる。しかし、従来解読を進めた石造文化財に関して、調査データの蓄積や方法改善に伴い、再調査が必要なものが出てきている。
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今後の研究の推進方策 |
山寺立石寺の再調査の必要性が高い石造文化財に関しては、優先順位をつけて解読作業をおこないたい。また、2地区の調査が完了した羽黒山に関しては、山寺立石寺との詳細な比較検討が可能にすべくデータ整理と公表を進めることとする。なお、本年度発表した研究成果について、学会誌への投稿が決定している。こうした機会を活用し、成果を広く公開していきたい。
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