石造文化財の調査法の進展に伴い、既調査分について検討の必要性が生じたため、山寺立石寺参道の磨崖供養碑の再調査をおこなった。その結果、近世前期段階から仙台市秋保周辺からも参詣者があったこと、享保年間に下野国日光から参詣者が刻んだ磨崖供養碑の、名前・年月日部分を新たに解読できた。現段階で石造文化財988基のうち約9割について調査が終了し、詳細なデータを獲得している。 比較対象地である出羽三山(羽黒山・本道寺口)、松島(瑞巌寺参道・雄島)の石造文化財の調査も進めた。分析の結果、各霊場を支えた人々(地域)の相違点が判明し、山寺立石寺は近世中頃まで特に在地に強固に支えられた霊場であることが鮮明になった。
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