石器と鉄器の組成,サヌカイト製打製石器,剥片剥離技術,伐採斧,工具石器,特徴的な石質の磨製石器原材について,瀬戸内地域各地で比較した。 その結果,東部瀬戸内では,サヌカイトの利用が圧倒的であるために,その流通が地域内での情報伝達の主要ルートを形成し,これに乗る形で大陸系磨製石器,鉄器と鉄器製作技術の移動が起こっていたと考えられた。一方,西部瀬戸内では,サヌカイトの流通量と役割がそこまで大きくなかったため,各種の石斧,特徴的な石質の磨製石器原材,サヌカイト,黒曜石,鉄器とそれらに関する技術が,別個に移動することで,地域内での交流と情報伝達のルートが重層的に形成されていた可能性が明らかとなった。
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