この研究は、徳島市三谷遺跡の発掘調査と、徳島市庄・蔵本遺跡など、既存の縄文晩期末から弥生前期にかけての調査成果から、当該期におこなわれた農耕の実態とその展開を明らかにするために行われた。 徳島市三谷遺跡は、縄文晩期最終末から弥生前期初頭にかけて、短期間営まれた遺跡である。既存の調査によって、開析谷と開析谷へむかう緩斜面が検出され、貝塚やイヌの埋葬、石棒による祭祀の痕跡が認められるなど、縄文時代の伝統を色濃く残していた。今回の調査では、微高地上に営まれた三谷遺跡の生活域を明らかにした。また、縄文時代の伝統的な集落を展開しながら農耕を開始していた様相を明らかにすることができた。
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