研究課題/領域番号 |
26370899
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
重藤 輝行 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (50509792)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高床倉庫 / 5~8世紀の西日本 / 集落遺跡 / 倉庫の所有・管理形態 / 古墳時代~奈良時代の集落の再検討 |
研究実績の概要 |
平成26年度は近畿、山陽、山陰、九州北部の報告書、論文等の基礎的な文献資料を収集するとともに、文献収集や研究者との意見交換のために、近畿、山陽等に出張する予定であった。兵庫県、奈良県に出張し、近畿地域の基本的な文献を収集し、各地の研究者との意見交換を行った。一方、山陰・山陽地域への出張は実施できなかったが、代わりに九州南部に出張し、文献収集と意見交換を行い、九州全域について初歩的な資料の収集がほぼ完了した。あわせて韓国の同時期の集落遺跡の事例を文献等から収集した。 また、学生バイトを雇用し、データの整理・入力、文献や図面等の整理を行った。あわせて図面の製図を進める予定であったが、学生バイトの雇用が進まずに、平成27年度に本格的に実施することとした。 これらの研究により、5~8世紀の高床倉庫と居住用建物の配置の類型抽出のための、集落と建物群との配置関係の良好な事例を蓄積することができた。さらに近畿、九州では5世紀に2×2間の総柱建物が出現し、5~6世紀は集落の集団的な倉庫群が存在するが、7・8世紀と次第に集落内の小集団の管理、所有が進むという基本的な変化を解明できた。これについては文献収集を進めている段階にとどまる中四国地域でも同様であるという見通しが得られた。また、6~7世紀の首長の管理する倉庫群と一般集落の倉庫の階層差が存在し、8世紀にはさらに平城京の宅地内の倉庫等もこの階層差に加えて検討可能であることが判明した。これをもとに、平成27年度、建物形態、構造、規模、建物配置パターンの具体的な分析を進める予定である。 なお、平成26年度には研究に必要なパソコン、ソフトウェア等の基本的な機器を整備した。また、研究状況の公開および情報収集のために簡単なホームページを開設した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度には、近畿、九州、韓国の発掘調査報告書等の基本的な資料をほぼ収集することができ、あわせて平成27年度に中四国の文献収集を行うことが可能という見通しを得ることができた。また平成26年度に収集した近畿、九州の落と建物群との配置関係の良好な事例をもとに高床倉庫と居住用建物の配置の類型抽出や分析・検討の方向性を得ることができた。これらにより、平成27・28年度の計画的な研究の実施についても見通せるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は平成26年度に実施できなかった山陰あるいは山陽の出張調査、さらには当初から計画している四国、あわせて韓国への出張調査を実施し、文献等基礎的な資料を収集するとともに、各地の研究者との意見交換を進める予定である。 また、学生バイトを雇用し、資料の整理、入力、製図の援助を得ながら、建物形態、構造、規模、建物配置パターンの具体的な分析を進める予定である。可能であれば、これらの中間的成果について、学会等で研究発表し、関係する研究者からの意見をいただいて、研究や分析の方向性を微調整したい。 平成28年度には、これらの成果をもとに報告書の原稿作成と、追加の調査、分析を行い、年度末に報告書を刊行する予定である。
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