弥生時代の貝交易を琉球列島の貝殻集積の分析を通して再検討した。その結果交易されたゴホウラのほとんどは沖縄諸島で作られた貝輪粗加工品であることが明らかになった。貝殻集積に沖縄諸島で試作された弥生人向けの腕輪試作品が混在していることから、弥生人の腹面貝輪のデザインが沖縄諸島で生まれていたこと、これが貝殻運搬を行う弥生人と沖縄貝塚人によって生み出された可能性のあることがわかった。 貝交易は、背面貝輪の粗加工品が登場する「開始期」、腹面貝輪の粗加工品が主体を占め貝殻の質が低下し始める「展開期」、腹面貝輪の粗加工品が登場する「最盛・衰退期」の 3 段階に区分される。開始期は弥生時代早期に遡る可能性がある。
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