古墳出土する人骨は総じて遺存状態が不良であり、基本的な考察を実施することが難しい。そのため古病理学的所見に関する考察を実施も難しく、中でも複数の個体が一つの埋葬施設に納められている場合、個体識別が困難となり、研究推進が難しくなっている。そのため埋葬施設内における骨片を部位同定し、その出土地点を把握しつつ、個体識別を実施し、古病理学的所見の観察を実施した。さらに南九州などにおける遺存状態が比較的良好な資料については、集団としての出現頻度を提示し、虫歯率が低く、脛骨を中心とした骨膜炎の所見が高めであることが明らかとなった。しかし本研究では古病理学的所見から階層差等を提示することはできていない。
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