本研究の成果としては、まず法隆寺に伝来した染織作品の研究にもとづいて修理を完了できたことがあげられる。これについては科研の最終年度に報告書を作成し、美術館・博物館等の研究者に配布することができた。また国内各地の古墳から出土した繊維遺物について調査をおこない、それぞれ報告書を作成している。これまで古墳から出土した繊維遺物について、本来それがどのような形状の作品であったかについてはあまり研究が進んでいなかったが、各地の遺物を比較し、その構造や使用法についても解明することができた。伝来作品と出土作品を学際的な研究により結び付けたことで、古代における染織作品の世界がより明らかになった。
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