研究課題/領域番号 |
26370914
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研究機関 | 九州歴史資料館 |
研究代表者 |
小田 和利 九州歴史資料館, 学芸調査室, 研究員(移行) (60554904)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 陶硯 / 定形硯 / 転用硯 / 大宰府史跡 / 文房具 |
研究実績の概要 |
平成28年度は研究の3年目であり、大宰府管内出土陶硯(肥後110点・日向21点・薩摩35点・大隅11点)の資料収集を、当館所蔵文献をもとにデータ入力作業員の協力で行った。また、大宰府史跡出土陶硯に関しては、広丸地区官衙跡出土の定形硯60点と転用硯65点の実測作業を行い、平成29年度末に『大宰府政庁周辺官衙跡ⅩⅠ-広丸地区遺物編-』として刊行予定である。 研究成果の公開としては、企画展「大宰府の役人と文房具」を平成28年11月23日~平成29年1月15日の会期で開催した。役人と文房具に焦点を当て、文房具・木簡・墨書土器・工人と言った切り口での展示を行った。また、大宰府出土の陶硯の特殊性を示すため、宮都出土の陶硯、官衙遺跡出土の陶硯を並べて展示した。その際、平城宮・平城京出土の形象硯2点を奈良文化財研究所から、筑後国府跡出土陶硯を久留米市教育委員会から、みやま市教育委員会からは御二田遺跡出土陶硯を借用し、比較展示を行った。期間中、記念講演会「古代の役人と文字」を宮崎産業経営大学柴田博子教授を招いて実施した。また、夕べのギャラリートークを12月7日・1月11日に開催し、好評であった。 当初、研究期間を平成28年度までとしていたが、大宰府管内の資料収集が完了していないことと蔵司官衙跡出土陶硯の内容を成果報告書に反映させたいため、平成29年度まで調査研究期間を延長することとし、研究成果を平成29年度末に『西海道官衙遺跡等出土陶硯集成』として刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究成果の公開は、企画展・記念講演会・ギャラリートーク等を開催し、予定どおりに行うことができた。しかし、資料収集に関しては、大宰府管内の筑前・筑後・豊前からは想定以上の陶硯が出土しており、データ入力作業が順調に進んでいるとは言えない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
大宰府管内出土陶硯の資料収集に関しては、筑前・筑後・豊前が完了しておらず、予定どおりに資料収集が進捗していないため、調査研究期間を平成29年度まで延長することで対応したい。 大宰府史跡出土陶硯に関しては、蔵司官衙跡出土陶硯の抽出作業を行い、平成29年度末に刊行予定の成果報告書『西海道官衙遺跡等出土陶硯集成』に反映させることとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ入力を行う作業員の補充を行わなかったため、人件費の未使用額が生じた。また、資料収集が完了していないので、成果報告書の印刷を行わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究期間の最終年度となる平成29年度で資料収集を完了させ、成果報告書『西海道官衙遺跡等出土陶硯集成』を刊行することとしており、調査旅費・人件費・その他(印刷費・切手代・消耗品費)を使用する計画である。
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