本研究は、福島第一原発事故後の飼料資源の再生プロセスを取り上げ、行政による地理空間情報の活用、放射能汚染の範囲、除染前後の畜産経営における飼料調達の変化を明らかにした。 那須塩原市と那須町は、2011年以降管内の空間線量マップの公表を継続し、那須町では除染圃場の位置と空間線量率もGIS上で管理している。一方、県による牧草の放射性物質給与前検査の結果については、地理情報として活用できていない。調査経営体では、最長3年間永年生牧草地が利用できなくなった。自給飼料全体の30%が失われ、飼料内容の変化により牛の疾病も増加した。さらに汚染牧草の処理と継続保管という大きな負担を強いられた。
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