本研究では、戦時期(1930年代~1945年)における東京および関東地方における工場立地について検討した。その結果、まず1930年代の東京市では、1937年の日中戦争の拡大とともに工場が外縁部で急激に拡大するとともに、人口が急増して郊外の工業化が進んだ。次に、関東地方工場立地については、工場名簿をデータベース化して分析した。その結果、日中戦争以降、紡織工業の縮小と機械器具工業の拡大が見られた。戦時期前半には、京浜地域を核として外延的に工場立地が拡大し、部分的には大規模な軍需工場や工廠を核とした外縁部での拡大も見られた。後半になると、西~北関東にかけて疎開工場が分散的に立地した。
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