研究課題/領域番号 |
26370922
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
吉水 裕也 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (60367571)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地理教育 / 社会科教育 / 地誌学習 / カリキュラム開発 / 中学校 / 高等学校 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地域間の比較,および重層的スケール間の相互関係を考察する視点を組み込む事により,中等段階の社会科地理的分野および地歴科地理における地誌学習を理論的・実践的に再構築することである。平成26年度は,単元プランの開発のためのフレームワーク設定を行ってきた。そのために大きく3つの取り組みを行ってきた。 第1の取り組みとして,全国の中学校の約1割にあたる1049校に地誌学習実践状況を調査するためのアンケート調査を送付した。そして約45%にあたる470校から回答があった。回収したアンケートのデータを現在分析中である。分析結果は平成27年度中に学会で発表する予定である。アンケートでは,中学校の世界地誌学習および日本地誌学習を実践する上で大切にしていること,および困難を感じていることについて調査している。 第2の取り組みは,外国における地誌学習の実施状況調査である。平成26年12月に台北市立中正國民中学校において地理授業の参観および教師への聞き取り調査を行った。特に,地誌学習の具体的実践状況を使用教材と共に知ることができた。台北では臺湾師範大學の研究者にも並行して聞き取り調査を行っている。さらに平成27年3月にオーストラリアのウェスタンオーストラリア州オーストラリンドハイスクールにて授業参観および教師への聞き取り調査を行った。また,州教育省においてカリキュラム統括官から,異なるスケール間の関係について,ナショナルカリキュラムや州カリキュラムでどのような考えを持っているのかについて聞き取りを行った。 第3の取り組みは,研究協力者への研究進捗状況を共有するマルチスケール地理学習研究会の開催である。26年度は1回の研究会を行い,次年度の実戦に向けた情報共有とアイディア交換を行った。 これらの調査をもとに,地誌学習の単元プランを開発するための基礎的データを収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は海外での地誌学習実施状況の調査および国内における地誌学習実施状況の把握をするという実施計画であった。外国調査に関しては台湾およびオーストラリアのウェスタンオーストラリア州において実施した。また国内においては全国の中学校の約1割に対してアンケート調査を行い,約45%から回答を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,計画通り26年度に得たデータをもとにして具体的な地誌学習の単元開発を行う。それらをマルチスケール地理学習研究会において,実験授業の実践を行ってもらう教育現場における実践者と研究内容の共有を図り,また単元プランの精緻化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に国内の中学校1049校への地誌学習実施状況の調査を行った。その際の発送送料,および後納となっている返信用の送料,また,データ入力のアルバイト経費が執行できなかったことによるものである。
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次年度使用額の使用計画 |
アンケートの発送および返信に関する送料,回収したアンケート調査に関しては,データの整理と入力のアルバイト経費を執行することによって,前年度から繰り越した額が執行できる。
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