本研究の目的は、地域社会における不平等の問題が地理的バックグランドに関係していることに着目しながら、地域社会を構成する各主体間に存在する権力的関係を明らかにすることである。米軍基地近隣歓楽街(沖縄県金武町)の調査では、風俗営業の経営を疎んずる地元住民とは対照的に、歓楽街は他地域からの流入者の集住地区となったこと、また今日では、グローバルな人口移動(フィリピン人女性)を受け入れる「うつわ」となっていることがわかった。旧産炭地域(北海道空知地区)の調査からは、国内各地から集まる炭鉱労働者とその家族にとって、地縁的関係を基礎に成り立つ集落こそが、完結した彼らの生活圏であったことがわかった。
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