研究課題/領域番号 |
26370924
|
研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
島津 俊之 和歌山大学, 教育学部, 教授 (60216075)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 地理学史 / 公共空間 / 近代 / 偶有的接合 / ドレスデン / ミュンヘン / 芸術 / ナウマン |
研究実績の概要 |
平成26年度は,インターネットを通じた資料探索・所在確認・購入・閲覧を行うとともに,ドレスデン及びミュンヘンにおいて,それぞれ資料探索・所在確認・購入・閲覧を行った。ドレスデンでは,ザクセン州立・ドレスデン工科大学図書館において,ドレスデン地理学協会に関する有益な資料を収集することができた。ミュンヘンに関しては,お雇い外国人として日本の地質調査の進展に大きな役割を果たしたエドムント・ナウマンが,自然地理学・地質学の教授資格をミュンヘン大学で取得した後に,バイエルン王国がミュンヘンに建設した水晶宮(Glaspalast)において,1887年7月31日から10月15日まで,「日本芸術の展覧会」を催していたことが新たに判明し,その調査を二度にわたって行った。その結果,この博覧会は,地理学者としても知られ,ミュンヘンで1866年に亡くなったフィリップ・フォン・シーボルトが同地に遺したコレクションとも関連を有すること,ナウマンの展覧会は会場に日本らしさを漂わせる空間的演出がなされ,地理学者としての資質がそこに顕われていたこと,その空間的演出は現地で好評を博したこと,等を明らかにすることができた。この研究成果は,平成27年7月にロンドンで開催予定の国際歴史地理学会(ICHG)で発表すべく,"Creating Japanesque Landscapes in the German Crystal Palace: Edmund Naumann and the 1887 Japanese Art Exhibition in Munich"と題するアブストラクトを投稿して受理された。また,本研究課題に関連して,ポーランド・クラクフで開催された国際地理学連合地域会議において研究発表を行い,その成果を欧文論文として発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドレスデンでの調査に加えて,新たにミュンヘンでの調査を研究目的に組み込むことにより,19世紀大陸ヨーロッパにおける地理学と公共空間の偶有的接合というテーマを,より豊かな事例に基づいて発展させることができると見込まれるため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定をさらにヴァージョンアップした形で研究が進んでいるので,このペースを今後も持続させて研究を発展させてゆきたい。
|