研究課題/領域番号 |
26370924
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
島津 俊之 和歌山大学, 教育学部, 教授 (60216075)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地理学史 / 公共空間 / アントワープ / パリ / 芸術 / 本初子午線 / ジャン=バティスト・カルポー / 博覧会 |
研究実績の概要 |
本年度は,7月にロンドンで開かれた国際歴史地理学会議(ICHG)で前年度の研究成果を発表した。また同月にアントワープにおいて,1902年に開催された「地図・民族・海洋博覧会」に関する資料を収集するとともに,国際地図学史会議(ICHC)に出席して有意義な知見を得た。3月にはパリで現地調査を行い,国立公文書館等で資料収集を行うとともに,彫刻家ジャン=バティスト・カルポーが製作した地理的彫像の写真撮影を行った。一つはルーヴル美術館フロール館の外壁屋上に据えられた「帝国フランス」で,もう一つはパリ天文台北側の「大探検家庭園」南端にある「世界の四大陸」である。特に後者は,1867年から1874年にかけて整備された大探検家庭園とともに,本初子午線の地位をグリニッジと争ったパリ子午線を物質化・象徴化すべく設置されたことが判明した。1875年にパリで開催された第3回国際地理学会議では,1871年における第1回のアントワープ会議での議案に抗して,パリ子午線を本初子午線とすることが提議されたのであった。地理学と公共空間の芸術作品を媒体とした偶有的接合を論じるうえで,この発見は極めて重要である。さらに,1878年のパリ万国博覧会でトロカデロ宮殿に設置された6体のブロンズ像(ヨーロッパ・南北アメリカ・オセアニア・アジア・アフリカを象徴する)が,オルセー美術館前の広場に据えられていることが判明し,その写真撮影も行った。また,2016年8月に北京で開催される第33回国際地理学会議に提出したアブストラクト"Opening Geography to the General Public: Towards a Genealogy of the International Geographical Exhibition in Europe (1871-1902)"が受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パリでの現地調査が成功し,「世界の四大陸」の新たな意義が判明し,かつ,オルセー美術館前の広場に移された地理的彫像の存在も判明したため。また,ロンドンにおける学会発表も,議論を深めることができて有益であったため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定を上回る成果が見込めるので,このペースを今後も持続させてゆきたい。
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