研究課題/領域番号 |
26370926
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
平 篤志 香川大学, 教育学部, 教授 (10253246)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地場産業 / 中小企業 / 海外展開 |
研究実績の概要 |
本研究は,中国四国地方を中心に西日本の先進的な事例を通して,日本の地方に展開する地場産業の生存戦略を,当該産業のリーディング企業の役割に着目して明らかにすることを目的とする。本研究は,科研費による研究「地方地場産業の地場と海外進出拠点群との戦略的協働関係に関する地理学的研究」(平成22~24年度基盤研究(C))の発展的研究である。先の研究で,地場産業の「地場」の意味と海外展開の質的変容,つまり国内の地場では必須の生産機能を確実に維持しつつ,グローバルネットワークの中心的機能を高度化する姿が,東かがわ地域の手袋産業と今治地域のタオル産業において確認された。その際に,「海外展開」と「地場での高級・専門品製造」という異なる戦略を取るリーディング企業の存在が当該地場産業の強みとなっていることが確認された。 本年度は,現地調査を通じて地方地場産業の最新の状況を確認するとともに,海外進出を積極的に進める地場リーディング企業の生存戦略の解明を目指した。まず,既存の統計・文献類の分析を通して,中国四国地方を中心に西日本地域の地場産業の中で,海外展開を行いつつ地場での活動を活発に行っているリーディング企業を見いだし,その特徴の把握に努めた。また,海外,特にヨーロッパにおける日本の中小企業の活動に関する最新の動向を捉えるため,イギリス(ロンドン),ベルギー(ブリュッセル),フランス(パリ)において,JETROの現地事務所で聞き取り調査を実施するとともに,関係資料を収集した。また,香川県に本社を置くリーディング企業において聞き取り調査を実施するとともに,関係機関において資料を収集した。本年度の研究結果は,日本地理学会2014年秋季大会および同2015年春季大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」にも記したように,本年度は,統計・文献類をもとに,西日本を中心として日本の地場産業・中小企業に関する最新の動向について分析を行った。また,近年その活動が活発になりつつあるヨーロッパの主要国(イギリス・ベルギー・フランス)において,聞き取り調査と文献収集を通して最新の動向を把握した。さらに,香川県に本拠を置き,世界的に営業を展開するリーディング企業において聞き取り調査を実施した。そして,これまでの研究結果について,専門分野の日本を代表する学会(日本地理学会)において発表した。これらのことから,本年度本研究は順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,平成27年度は,西日本を中心に地場産業・中小企業の全体的な動向調査を継続するとともに,その中で,中国四国地方に本拠を置き,特に海外で活発に事業を展開するリーディング企業に関する実態調査をさらに深めようと考えている。それらの中で,海外展開を積極的に進める企業を選定し,中国と東南アジアでの展開の態様を,数週間単位の現地調査を通して明らかにしたい。平成28年度は,中国四国地方と,そこに本社を置く中小企業の海外展開先での補足的な現地調査を行うとともに,3年間の研究成果をまとめ,地方経済においてリーディング企業が果たす役割を,地理学的観点に立ってモデル化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,物品費と旅費を中心に使用し,当初予定した「人件費・謝金」「その他」の使用がなかったこともあり,59280円の未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の未使用額(59280円)については,平成27年度に物品費(PCソフトほか)として使用する予定である。
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