複数の市町村が保険財政を一体化して介護保険事業を広域運営する広域保険者では,2000年代半ばに平成の大合併が本格化したことに伴って再編を余儀なくされたが,合併が生じても,その領域変化のパターンは様々であり,それらは,領域再編をした地域と消滅した地域とが見られた。広域保険者の構成市町村が単独運営に移行したケースでは,合併による新自治体が保険料水準の比較検討によって,存続する広域保険者からの脱広域化を積極的に選択した事例はごくわずかであった。むしろ,他の市町村との広域化の継続が合意に至らず,消極的な意味で単独運営に移行せざるを得なかった,非選択的とも言える脱広域化の事例が多くみられた。
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