本研究では、ライフヒストリーとジェンダーから近現代の日本と英国の庭園をめぐる思想と実践に地理学的にアプローチした。本研究では、日英の文化を越える庭園にも着目した。近現代は日英ともに女性の教育、女性の家庭での役割、女性の社会進出など共通した方向の変化が捉えられる。本研究ではライフヒストリーで語られる旅行・学校・家庭における庭園の実践のプロセスがジェンダー化することを批判的に明らかにした。さらに庭園の実践の中に現れる社会性・生産性・精神性の価値基準のスケールを組み合わせ考察することで、近現代の各々の世代による庭園の実践に女性と家庭や社会との多様化・複雑化する関係の諸相を具体的に解明した。
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