研究課題/領域番号 |
26370939
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
後藤 正憲 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 助教 (70435949)
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研究分担者 |
辛嶋 博善 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 非常勤研究員 (60516805)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アントレプレナーシップ / ポスト社会主義 / 文化人類学 / ロシア:モンゴル / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
研究代表者(後藤)と分担者(辛嶋)が、それぞれロシアとモンゴルで複数回にわたってフィールドワークを行い、主に農村と牧畜地域における企業的活動についてのミクロな情報を収集した。 後藤は、2014年10月後半にロシアのチュヴァシ共和国チェボクサルィおよびツィヴィリスク郡を訪れ、消費者協同組合をベースとする企業活動に関する調査を行った。またモスクワの消費者協同組合大学で研究者にインタビューを行い、同大学付属図書館で資料収集を行った。 一方、辛嶋は、2014年8月中旬から下旬にかけて、モンゴル国ヘンティー県チンギス(旧称ウンドゥルハーン)、および牧畜地域のムルン郡で、牧畜民と定住地に移住した人々を対象に、居住形態の変化や牧夫の結婚に関する聞き取り調査を行った。さらに首都ウランバートルでは、牧畜地域から移住して縫製業を行う世帯を調査した。また、辛嶋は2015年2月後半にも同地域で追加の調査を行い、牧畜社会における牧夫の雇用、また牧夫への財産分与に関わる聞き取りを行った。 その他、両者とも複数の機会を利用して、積極的に研究成果の準備的報告を行った。5月中旬に千葉市幕張メッセで行われた国際人類学会IUAESでは、辛嶋が英語で報告を行い、同時開催の日本文化人類学会では後藤が日本語で報告を行った。また8月初旬にモンゴルのウランバートルで行われた国際会議では、研究代表者と分担者の他に、連携研究者の地田徹朗や、研究協力者の滝口良も交えて、Economic Behavior and Entrepreneurship of Economic Actors in the Former Soviet Union and Mongoliaと題するパネルを組織し、それぞれ報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者と分担者は、それぞれ個別にポスト社会主義社会における経済活動の動向について研究を進めるかたわら、国内の学会や国際会議の機会を利用して研究経過を報告し、互いの方向性を確かめ合うことができた。なかでも、8月にモンゴルのウランバートルで行われた国際会議では、連携研究者や研究協力者もまじえてパネルを組織し、実質的に本研究のキックオフセミナーを行うことができた。 また調査においては、ともに政変後の経済活動をミクロな視点から調査し、それぞれの地域における起業支援のあり方、旧体制から継続する組織と新たに発足した経営主体との関係、居住形態や社会構造の変化、生業と市場の連結具合、親族間の協業ネットワークの形成など、ポスト社会主義国の今日における経済活動の持続性と変化について、手持ちの情報を補充することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の段階では、後藤は初年度に極東地域でも調査を行う予定を立てていたが、代わりに他の共同研究によりムルマンスク、アルハンゲリスクの極北地域での合同調査に参加することができた。今後、首都圏や極東地域での調査の可能性を検討していく上でも、極北地域での合同調査をどのような形で本研究に結び付けていくかが課題である。 また、生産と販売を結ぶ流通の面については、全体的に見て調査が手薄となった。今後これらの方面についての知見を充実させていく必要がある。この点は計画段階で視野に入れておいたことであるが、本研究ではモノや資本の流れをグローバルな規模で捉えるマクロな枠組みが欠かせない。今後はミクロなレベルでの調査を充実させていくとともに、マクロなレベルでの考察を加えていくことにも力を入れる。 同時に、文化人類学会(平成27年5月)や国際中・東欧学会ICCEES世界大会(平成27年8月)など、研究経過を報告する機会を積極的に利用して、研究者間のネットワーク作りを進めていく。さらに自主的なワークショップを組織して、メンバー間で方向性を確認し合いながら、意志の疎通を深めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額の60,000円は平成27年3月に立替払い手続きをした国際中・東欧学会ICCEES世界大会の参加登録料が4月払いになるため生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額60,000円は、平成27年3月に立替払い手続きをした国際中・東欧学会ICCEES世界大会の参加登録料の4月支払いに充てる。
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