20世紀末に経済体制の転換を遂げた国々では、よくアントレプレナーシップを発揮する起業家の存在が経済体制移行の一つの目安とみなされる。しかし、実際に経済活動が行われる場面では、社会的枠組みのあり方やその中で結ばれる行為者同士の関係性が、アントレプレナーシップの発動に大きく関わっている。本研究を通して、アントレプレナーシップは経済の合理化に収束するための要因としてではなく、関係性の変化に応じてその都度構成し直される経済行為の軸となるもの、常に新たな関係の創出に向けて開かれるものとして捉えられることがみいだされた。
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