平成29年度は、タイ王国において5月3日~8日(ナーン県ムアン郡ボー区)、8月1日~10日(パヤオ県チエンカム郡ロムイェン区)、9月23日~10月2日(パヤオ県チエンカム郡ロムイェン区)、2月11日~20日(チエンラーイ県ムアン郡ホエイチョンプー区)に現地調査を行った。調査においては、歌詞テキストの収集、即興歌詞の録音、歌詞の読解、歌謡語語彙の採集・分析、新宗教現象の儀礼記録とシャマンへの聴取を行った。 1)ミエンの歌のテキストと歌謡語語彙に関する調査を、パヤオ県チエンカム郡、ナーン県ムアン郡において行い、歌謡テキストを収集してその発音を確定し、意味を解読した。また、即興歌を録音して発音を確定し、意味の聴取と解読を行った。これらのプロセスを通じて歌謡語の歌詞の特徴を把握した。 2)ミエンの新たな宗教現象については、陰暦正月の儀礼の調査をチエンラーイ県ムアン郡のミエン村落にある廟で行い、儀礼を録画して分析した。一方、女性シャマンのライフヒストリー、シャマン集団の組織に関する聞き書きを行った。女性シャマンの経歴・成巫過程・師弟関係を聴取して、女性シャマンの組織のあり方を明らかにした。また、廟の儀礼の内容が変化し、女性シャマンの集団儀礼が増加して女性シャマンの集団の統合が強くなってきた一方で、一般信者の参拝が減少し、廟の活動に変化が見られることを見いだした。 3)1の歌謡語語彙に関する調査の成果を活用して、女性シャマンの歌による託宣の内容の解読も進めた。
|